そもそもLLMとは?
LLMとは、膨大なテキストデータを学習した「超優秀な頭脳」です。ChatGPTやClaudeがこれにあたります。質問すれば的確に答え、文章を書き、翻訳し、プログラムのコードまで書いてくれます。
ただし、ここが重要なポイントです。LLMは「考えるだけ」で、自分では何も実行できません。
どんなに優秀な人でも、椅子に座ったまま口頭で指示を出すだけでは、仕事は完結しませんよね? それと同じことがAIにも言えます💡
「エージェント」とは何か
ここで登場するのが「エージェント」という概念です。エージェントとは、AIに「手足」を与える仕組みのこと。これによってAIは考えるだけでなく、実際に行動できるようになります🦾
具体的にはこういうことが可能になります。
- 📂 ファイルを読み書きする
- 🗄 データベースを検索・更新する
- 🔗 外部サービスと連携する(メール送信、カレンダー操作など)
- 📋 複数のステップを自分で計画して、順番に実行する
- 🔄 失敗したら原因を分析して、自分でやり直す
たとえば「来週の会議を設定して」と頼んだとき、LLMだけなら「こういうメールを送るといいですよ」という提案で終わります。しかしエージェント機能があれば、カレンダーの空き時間を確認し、参加者に招 待を送り、完了報告までを自動で行ってくれます。
「設計図を描ける建築家」と「設計図を見て実際に家を建てられる建築家」、どちらがビジネスで求められるかは明白です🏠
国内AI開発の"片輪走行"
ここで日本のAI開発の現状を見てみましょう。
LLMを作る企業は着実に増えています。日本語に強いモデル、医療や法律など特定分野に特化したモデル。これらには確かに価値があります。ただし、モデル単体では結局のところ「賢いチャ ットボット」の域を出ません。
一方で、エージェントを作る企業も出てきています。業務を自動化するAIツール、いわゆるRPAの進化版です。しかしその多くは、中身としてはOpenAIやAnthropicのAPIをそのまま利用してい るため、モデル側の挙動を根本からコントロールすることができません。API仕様の変更や料金改定があれば、そのまま影響を受けてしまいます😓
つまり現状は、LLMとエージェントが別々の会社で、別々に開発されている状態です。頭脳を作る人と手足を作る人が別々に作業しているようなもの。結果として、つぎはぎの連携になりがち で、ユーザー体験としての完成度が上がりにくい構造にあります。
Claudeが示す「両輪の完成形」
では、LLMとエージェントが一体で開発されるとどうなるか。その参考例として、弊社がもっとも注目しているのがAnthropicのClaude(クロード)です。
Claudeの何が特別かというと、LLM(頭脳)とエージェント機能(手足)を同じ開発チームが一貫して設計している点です。
- Claude Code:コードを書くだけでなく、ファイル操作、テスト実行、デプロイまで自律的に行う
- MCP(Model Context Protocol):外部ツールとの接続を標準規格として整備
- Tool Use:モデル自体が「いつ・どのツールを使うべきか」を判断できるよう訓練されている
これが何を意味するかというと、モデルの訓練段階から「行動すること」を前提に設計されているのです。エージェントが失敗するパターンをモデル改善にフィードバックし、「考える」と「動く」がシームレ スに繋がっています。
弊社が業務で利用していても、この一体感は明確に実感できます。現時点で、この完成度に達しているサービスはほかに見当たりません✨
日本に必要な視点
誤解のないように言えば、日本でのLLM開発は今後も続けるべきです。データ主権の問題、日本語品質の確保、安全保障の観点からも、国産モデルの存在意義は大きいものがあります。
しかし「モデルを作って終わり」では、ビジネスの現場は変わりません。そのモデルで何ができるようにするか、つまりエージェントとしての設計を同時に進めることが不可欠です。
モデルとエージェントを分断して開発するのではなく、統合的に設計するアプローチ。日本のAI産業がグローバルで存在感を発揮するには、この「両輪」の視点がどうしても必要です。
まとめ
AIの進化は「賢くなる」フェーズから「動けるようになる」フェーズに移っています。
チャットで質問に答えてくれるだけのAIと、実際に仕事を完遂してくれるAI。今後、ビジネスに本当の価値をもたらすのは後者です。そしてそれを実現するには、LLMとエージェントが一体となった設計が欠かせ ません。
日本のAI開発が「片輪走行」を脱し、真に実用的なAIを生み出す日を期待しています。
